グルタミン酸は脳における興奮性シナプス伝達物質で、神経情報の生成と伝達、脳の可塑性、シナプス回路発達などに関与しています。
グルタミン酸受容体のなかにはグルタミン酸との結合能を失い、シナプス伝達機能を失ってしまったGluDファミリーが存在します。GluD2についてはシナプスの構造及び機能的結合性を制御する重要な分子であることが分かっていましたが、GluD1についえはその役割は不明でした。
今回、GluD1を、高感度で特異的に検出する発現解析ツールの開発に成功し、このツールを用いた解析により、GluD1が認知・運動・情動・記憶に関わる高次脳機能領域に発現していることを発見。
GluD1が特定のシナプス回路に選択的に局在していること、GluD1遺伝子欠損マウスのシナプス回路解析から、シナプス回路の形成制御に関与していることが分かりました。

(画像はプレスリリースより)
GluD1は小脳ではGluD2とシナプス回路レベルで相補的な役割を果たしていることが判明。
GluD1は認知や記憶、情動などの中枢である大脳にも豊富に発現していることから、今後は統合失調症,気分障害,自閉症スペクトラムなどの精神神経疾患とシナプスの形成異常との関連を検討するとしています。
▼外部リンク
北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news/140604_pr_med.pdf