理化学研究所(理研)は5月15日、科学技術振興機構、東京医科歯科大学、玉川大学との共同研究により、うつ病関連物質(神経伝達物質)のセロトニンの活動を制御する、謎の多い脳領域「外側手綱核」が、レム睡眠も制御することを発見したと発表した。
うつ病にはいくつかの主要症状があるが、その一つに不眠症がある。睡眠には急速な眼球運動を伴うレム睡眠と、それ以外のノンレム睡眠があり、睡眠時にはこのレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返している。うつ病に伴う睡眠障害では、短時間でレム睡眠が出現したり、レム睡眠中の急速な眼球運動が増加したりする傾向がある。しかし、このような睡眠障害がどのようにして起こるのかは不明なままだった。
一方、セロトニンの活動を制御する外側手綱核は、不快な状況や予想より悪い状況に陥ると活性化されることが明らかとなっていて、うつ病患者でもその外側手綱核における異常な血液量の増加が報告されている。そのため、研究グループは外側手綱核とレム睡眠との関係を解明するため、ラットを用いて脳活動を測定した。すると、外側手綱核を破壊したラットでは、レム睡眠の割合が約41%減少し、1回のレム睡眠の長さが約24%減少した。つまり、外側手綱核がレム睡眠の制御に重要な役割を果たしていることが確認されたのである。

(この画像はイメージです)
うつ病関連物質セロトニンが減少するとうつ病の症状が悪化することはよく知られているが、外側手綱核を電気刺激により活性化すると、セロトニンを分泌する神経細胞の活動が弱まるため、外側手綱核はこのセロトニンを制御する中枢と見られている。つまり、この部分がうつ病の症状に大きく関与しているのである。
今回、そのセロトニン制御中枢である外側手綱核が睡眠制御という新たな機能を持つことも確認された。つまり、うつ病の主要な症状である睡眠障害とセロトニンとの関係を明らかにする手がかりがこの研究により見つかったのである。さらに、外側手綱核の反応がレム睡眠にどのように影響を与えるかの研究を進めることにより、睡眠障害の原因解明につながると期待されている。
▼外部リンク
理化学研究所
http://www.riken.jp/

