2014年8月28日、理化学研究所はマウスの海馬を光で操作して「嫌な出来事の記憶」を「楽しい出来事の記憶」にスイッチさせることに成功し、その脳内での神経メカニズムを解明したことを発表した。
この研究は1987年、「抗体の多様性に関する遺伝的原理の発見」でノーベル生理学・医学賞を受けた利根川進理化学研究所脳科学総合研究センター長らの成果。利根川氏のバックグラウンドは分子生物学と免疫学であるが、近年は、脳科学、神経科学にもその関心を広げて成果を上げている。

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海馬と扁桃体という2つの脳領域とそのつながりに蓄えられた「嫌な出来事の記憶」が「楽しい出来事の記憶」に取って代わられるかどうかを、最先端の光遺伝学を用いて検討。
マウスの「嫌な出来事の記憶」ができるときに活性化する海馬の神経細胞群を、「嫌な出来事の記憶」光感受性タンパク質で標識。この標識された細胞群に青い光を照射すると、マウスは嫌な出来事を思い出してすくむ。
しかしこのマウスの海馬に光を照射しながら、メスのマウスを部屋の中に入れて1時間ほど一緒に遊ばせてやると、今度は「楽しい出来事の記憶」に変化。「嫌な出来事の記憶」をそのまま使って、「楽しい出来事の記憶」にスイッチすることができるということを証明した。
しかし、海馬の下流である扁桃体ではスイッチは起こらなかった。
うつ病の患者では、嫌な出来事ばかり思い出し、楽しい出来事を思い出すのが難しいとケースが多い。海馬と扁桃体のつながりにおける可塑性の異常が一つの原因と想定している。
▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140828_2/

