ストレス科学研究に「児童に対する認知的心理教育とSSTの抑うつ低減効果の比較」という文献が掲載された。

本邦で行われている児童の抑うつの低減を目的とした取り組みとしては、認知傾向の改善、感情コントロールスキルの獲得、社会的スキルの獲得という3つの要素を含んだ全5セッションの認知改善教育が実施されている。
その結果、感情コントロールスキルと社会的スキルが獲得されたことによって抑うつが低減したとする一方で、認知傾向の改善には至っていないこと報告している。
この原因を認知傾向の改善に用いた方法が、成人を対象として用いるような抽象性の高い方法であることが原因と考え、認知再構築法と社会的スキル訓練(Social Skills Training:SST)との比較を行った。
小学4年生30名を認知的心理教育、同60名を社会的スキル訓練群として、45分の授業2回による介入を行い、介入前、介入後、進級によるクラス分け後に2回、質問表により効果を測定した。
用いた質問表は子ども用抑うつ自己評価尺度、児童用自動思考尺度、小学生用社会的スキル尺度。
質問表を回収できた認知的心理教育群は28名、社会的スキル訓練群が53名。
認知的心理教育もしくは社会的スキル訓練を実施した場合に、抑うつ得点が低減する傾向が明らかになり、小学4年生における抑うつの低減効果に関しては、両アプローチの間に差異がないことが示唆された。
抑うつ得点が低減したプロセス変数においては、認知的心理教育と社会的スキル訓練の間に異なる部分を認めた。
今回の結果は、成人を対象としたうつ病治療において、社会的スキル訓練を実施した群は社会的スキルが向上したのに対し、認知療法を実施した群は非機能的な認知が変容した結果として、それぞれうつ病の改善が導かれたという報告と類似している。
今回の研究は、何も行わない群の設定がなく、抑うつ得点の低減が、学校教育あるいは自然回復の効果であるバイアスを取り除けていないという問題がある。
この点を明らかにするには、今後認知的アプローチと行動的アプローチを併せて実施した場合の効果について、それぞれを単独で実施した場合と比較し、認知行動的アプローチの有効性について検討する必要があるとしている。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
ストレス科学研究:「児童に対する認知的心理教育とSSTの抑うつ低減効果の比較」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stresskagakukenkyu/29

