2013年度の国際自閉症学会(INSAR: International Society for Autism Research)大会が2日から4日にかけて、スペインのドノスティア=セバスティアン(Donostia-San Sebastián)で行われ、自閉症児の遺伝的感受性、脳の発達、社会学習には、男女によって違いが存在すること、そして、正しい診断と治療のためには性差の理解が重要であるという見解が、専門家の間で増えている状況が確認された。大会で発表された主要な議論について、6日付のウォールストリート・ジャーナルが伝えている。

(International Society for Autism Research [INSAR])
自閉症は、ソーシャルスキルの欠如と反復的な行動を特徴とする発達障害である。全人口の1%以上が自閉症と診断されるが、長年、男児の方が診断の確率が高い、ということで知られてきた。自閉症児の男女比は、一般的には4対1とされているが、知能が高い水準では8対1あるいは10対1になることが、専門家によって指摘されている。
しかし、近年になるまで、男女差について重要視されてこなかったため、自閉症の研究で女児が対象から除外されることがよくあり、性差の検討が不十分な状況だった。
今年度INSAR大会で、米エール大学の研究チームは、女児は自閉症を遺伝的に防いでいる可能性があることを発表し、米エモリー大学の研究チームは、自閉症の男児と女児では社会情報の学習方法が異なり、他人との接し方の違いとなって表れるという予備段階の研究報告を発表した。
エール大学の研究では、数千人の自閉症児のDNAを調査し、女児の方が、自閉症に関連する遺伝子変異リスクが、男児に比べて平均して2倍の割合で高いことが明らかになった。それにもかかわらず、女児で自閉症の特徴が表れることが男児より少ないことから、女性であることで自閉症にならずに済んでいる何らかの要因がある、と同大の博士研究員スティーブン・サンダース氏は述べている。
エモリー大学の研究では、自閉症の男児52人および女児18人、健常な男児26人および女児36人に、他の人々との関わりをテーマにした動画を6本(少年たちが野球をしている様子や、子どもたちがおしゃべりをしている様子など)を見せ、視線追跡技術を用いて、子どもたちが画面のどこを見ていたかを調査した。
全体的には、自閉症の男児も女児も、健常児に比べて、動画中の子どもたちの目を見る頻度が少なかった。これは、これまでの研究で報告されているように、自閉症児は人間の口を見る傾向があり、目に表れる感情などの情報を見落としてしまうため、他者との交流において障害が生じるという見解と一致するものである。
ただし、自閉症の男児のアイコンタクト量と社会的障害レベルには、直接的な関係がみられたのに対し、女児は反対の傾向を示した。より目に注意を向けていた女児の方が、障害レベルは重度であった。
エモリー大学マーカス自閉症センターの責任者エイミー・クリン博士は、従来の傾向では、自閉症の男児も女児も、日常生活に適応しようとする際に同じことをすると考えられてきたが、そうではないことを示す証拠が出てきている、と述べている。
▼外部リンク
International Society for Autism Research (INSAR)
http://autism-insar.org/
The Wall Street Journal(電子版)
http://online.wsj.com/article/

