モントリオールにあるマギル大学の研究者は、子供の時に重度の虐待を受けた経験者の脳の特定領域に神経構造的変化があるのを発見。これらの変化が成長後にうつ病などの精神疾患に発展する可能性を示唆した。

これまで児童虐待を経験した人たちの脳の白質には、虐待の経験のない人とくらべて大きく異なる部分があることは知られていた。
これらはMRIを用い、生きている人々の脳を観察することにより見いだされていたため、白質細胞およびその分子レベルの明確な画像を得ることは不可能だった。
今回の研究ではDouglas-Bell Canada Brain Bankの協力を得て死者の脳サンプルを入手、調査に臨んだ。
研究者たちは脳サンプルを、うつ病に罹患しており重篤な児童虐待歴のある自殺者と、うつ病を患っていないものの児童虐待歴のある自殺者、精神疾患歴も児童虐待歴もない死者の3つのカテゴリに分類、その比較を行った。
その結果、児童虐待を経験した成人の脳には、神経繊維をコーティングするミエリンと呼ばれる物質が減少していることと、それに関連するであろう分子変化を発見した。
ミエリンは小児期に髄鞘形成(myelination)と呼ばれる過程で徐々に発達し、成人期に至るまで成熟を続ける。ミエリン鞘は神経繊維を保護し神経の電気信号を効率的に伝えられるように助ける機能を持っている。
この成果について研究者は、人生の初期における逆境が脳のある部分における神経の機能を永続的に乱す可能性があると結論づけている。
またこの現象は将来、うつ病などの精神性疾患のリスク増や衝動性、攻撃性、不安、薬物乱用、自殺などにもつながると話す。
今後はこの問題が、どの発達段階で脳のどこで行われるのか、分子レベルではこの現象が感情にどう影響を与えるのかを研究する予定であるとしている。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
マギル大学のプレスリリース
http://www.mcgill.ca/newsroom/

