アメリカのハーバード大学医学部のJordan Smoller教授が率いる研究グループは、遺伝的リスクファクターとされる危険因子の存在を明らかにし、代表的な5つの精神疾患を結びつける鍵となる可能性を「The Lancet」のインターネット版上に発表した。
病気の原因の関係が結びつけられるとされた5つの病気は、うつ病、双極性障害、自閉症、ADHDといわれる注意欠陥多動性障害や統合失調症である。
この中では過去の研究で病気同士に原因の関係をもたないとされてきたものもあり、今回の研究結果は精神疾患の分野の新しい道を切り開いたと言える。
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病気の原因とされるのはバリアントと呼ばれる遺伝子多様体である。この遺伝子の活動によって、そうとうつの状態を繰り返すことが有名である双極性障害や、または抗うつ気分やしょうそうを特徴とするうつ病、精神分裂や妄想の症状を特徴とする統合失調症などの危険度をアップさせるとされる。
また遺伝子多様体として同じタイプの遺伝子の領域を有する病気は、統合失調症と双極性障害とうつ病であった。また、その他には自閉症と統合失調症と双極性障害にも遺伝子の領域が同じタイプであるとされた。
健康な人3万3千人と、この5つの精神疾患どれかにあたいするの患者の2万8千人を対象として遺伝子のデータ分析を実施したところ、全ての疾患を結ぶ4つの共通の遺伝子の領域がみつかった。4つの中の2つの遺伝子領域は脳の制御を司る役割をするものであった。
この研究結果はすぐに臨床的応用できるものではないが、患者の病気のスムーズな分類や病気の危険性の予測判断、新薬への可能性が期待される。
▼外部リンク
Identification of risk loci with shared effects on five major psychiatric disorders: a genome-wide analysis
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)62129-1/abstract