出産後、情緒不安定からうつ病を発症するケースはしばしばみられ、「産後うつ」としても知られている。米国では、産後1年間に約22%がうつ病を発症するともいわれているが、そうしたなか、最新の産後うつに関する研究結果が、米医学誌JAMA Psychiatryの13日オンライン版に掲載された。
この研究は、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部精神・行動科学のKatherine L. Wisner氏らによるもので、産後間もない女性1万人を対象に、スクリーニング調査をおこなっている。
すると、産後4~6週の時点で10%以上にうつ病症状が認められ、そのうちの23%が双極性障害(そううつ病)であったという。
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Wisner氏らの指摘によると、こうした産後発症のうつ病では、通常のうつ病に比べ治療率がはるかに低いという。
同氏らはこの研究で、ピッツバーグ州都市部のピッツバーグ大学マギーウィメンズ病院で出産した女性の、英語を話す18歳以上の女性1万人を対象に、看護師やソーシャルワーカーが産後に病棟を訪れ、情報提供を行ったうえで、産後電話聞き取りによる調査を行ったそうだ。
すると、対象の1万人のうち1396人、14%で産後うつの症状が確認され、発症者グループは発症しなかったグループに比べ、平均年齢が若く、アフリカ系アメリカ人など白人以外、最終学歴が低いといった傾向がみられたという。症状が現れたのは、産後4週以内が40.1%で最多、次いで、妊娠中が33.4%、妊娠前からが26.5%だった。
自傷志向も産後うつのグループでは、19.3%の270人に、発症していないグループの0.6%、49人でみられたという。そのうち自殺願望は「ときどきあった」が65人、「しばしばあった」が8人で、「ほとんどなかった」は246人という回答結果になったそうだ。
産後うつの症状が認められるグループで、家庭訪問が実施できた826人のうち、うつ病が566人で最多だったものの、双極性障害も全体の22.6%にあたる187人でみられたという。このほか、うつ病の566人のうち374人は他の障害も合併して発症しており、とくに不安障害が多く、82.9%だったと報告されている。
▼外部リンク
JAMA Psychiatry(該当記事)
http://archpsyc.jamanetwork.com/