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世界初!老年期うつ病発症の原因となるタウタンパク質を生体内で可視化

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老年期うつ病患者の脳にタウが蓄積

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下、量研)と慶應義塾大学医学部の共同研究グループは7月1日、認知症の原因物質と考えられるタウタンパク質(以下、タウ)が老年期うつ病患者の生体脳に蓄積することを、世界で初めて生体イメージングを使って可視化したと発表した。

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精神病症状のある患者にタウ蓄積が多い

老年期うつ病は認知症の危険因子であり、認知症発症前は約3割が精神疾患で多くはうつ病である。老年期うつ病と認知症には共通点があるが、今まで共通の病態メカニズムは十分には分からなかった。

研究グループは、老年期うつ病患者を対象に、量研が開発したポジトロン断層撮影(PET)技術により生体脳のタウとアミロイドβタンパク質(以下、アミロイドβ)の蓄積量と分布を測定し、精神病症状との関連を調べた。量研のPET技術は、世界初の生体脳中のタウを可視化できるものである。

研究は、50歳以上の認知機能のある老年期うつ病20名と同年代の健常者20名を対象に行われた。PET検査には、タウに対して量研が開発したイメージング剤「C-PBB3」、アミロイドβに対してイメージング剤「C-PiB」が使用された。

タウの測定結果は、老年期うつ病患者では大脳皮質全体に蓄積があり、中でも前帯状皮質で高い蓄積が観測された。また、精神病症状のある老年期うつ病患者群の方がない患者群より、大脳皮質全体にタウ蓄積がより多く、特に前頭前皮質、前帯状皮質、側頭葉などの脳部位で高かった、

アミロイドβの蓄積量は、老年期うつ病患者群と健常者群との差はなかったとのこと。

精神病症状との関連を調べるため、死後脳データを比較検討した。アミロイドβ蓄積はあまりないがタウ蓄積があるケースが、抑うつ症状で20症例中7例、うつ病の既往で24症例中6症例が認められた。PET検査と同様、1部の老年期うつ病、特に精神病症状のある患者にタウ蓄積が関与している可能性を示した。

今後は、PETと死後脳の画像を直接比較することで病理相関による検証を行い、診断精度をより向上させ、老年期うつ病に対する診断・治療法の開発に取り組みたいという。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク

量子科学技術研究開発機構のプレスリリース
https://www.qst.go.jp/site/press/

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